複数のシーケンサーなどの同期運転を行う方法の1つであり、MIDI 信号を使って絶対時間を表すタイムコードを送る方式である。これによってマスター側の機器の操作にスレーブ側の機器が追従するような動作をさせる事ができる。MTC と省略される事も多い
なお、MIDI ではもともと同期関係の規格として「 MIDI シンク」あるいは「 MIDI クロック」と呼ばれる方式が定められていたが、これは曲のテンポにあわせて変動するクロックを基としており、MTC とはまったく異なるものである
これに対して、MIDI 以外の録音機などではもともと絶対時間を用いる SMPTE のタイムコード (LTC) による同期運転が広く使われており、MTC はこれらを相互に接続する要求が高まった事により、定められたものである
MTC ではSMPTE のタイムコードと同様のフレーム情報を扱うが、データ量が多すぎるため間引きが行われ、時間の精度は本来の SMPTE のタイムコードに劣る
使用される MIDI メッセージは、システムコモンメッセージに属する「 MTC クォーターフレームメッセージ (F1H)」である。このメッセージにより、1/4 フレーム毎に時間情報の 1/8 を分割して送出し、1つの絶対時間は2フレームで完成する事になる。本来の SMPTE では1フレーム毎に80ビットの時間情報を送出するため、完全な絶対時間の精度は SMPTE の1/2、ビット単位の精度は1/20となる