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2020/08/27 (2020年08月 のアーカイブ)

KiCadのガーバー出力オプション詳細

この辺に興味があるのは世界で10人くらいしかいなさそうなので自分用メモ:

KiCadで基板のガーバーを出力する際のオプション設定画面はこれ:

英語モードだとこう

この中で、「シルクをレジストで抜く(Subtract soldermask from silkscreen)」と「シルクからパッドを除外(Exclude pads from silkscreen)」は似ているようでやっている事も目的も違う。このオプションで影響を受けるのはどちらもシルクレイヤーのみ。

「シルクをレジストで抜く」のは基板上の露出した銅箔の上にシルク印刷が重ならないようにするためのもの。ファブの方でも対処してくれそうだけど通常チェックしておく。

「シルクからパッドを除外」は言葉からすると同じようにパッド(銅箔)部分にシルク印刷が重ならないようにするためのもののように思えるが、実はこれをチェックしない場合にシルク印刷に(元々は存在していない)パッドの形状を書き加えるもの。なお、書き加えたところで「シルクをレジストで抜く」がチェックされている場合は結局シルクが抜かれて印刷には出てこないので実質影響はない。

ではなんのためにこのオプションがあるかと言うと、シルクとパッド形状を一緒に紙に印刷する事で組み立て時のドキュメントにするために使う。ガーバーで出力する際には「シルクをレジストで抜く」と「シルクからパッドを除外」を一緒にチェックをはずす必要がある。が、ドキュメントにするためなのでガーバーではなくPDF等で出す方が良い (この場合はそもそも「シルクをレジストで抜く」オプション自体が存在しない)。

ついでに言うと、このパッドの形状をシルクに書き加える際の線の太さは「デフォルトの線幅(Default line width)」で決まる。この「デフォルトの線幅」は昔はあちこちで使われていたが、バージョンが上がって各部の線幅が個別に指定できるようになると共にあまり使われなくなっていてここ以外のどこで使われているかもう良くわからない。

こんな感じになる:

なお、KiCadの昔のバージョンではこのオプションは「Plot pads on silkscreen」であり、ロジックが逆、というか本来の目的に対しては直接的だった、がいつの間にかロジックがひっくり返った。そして更にこれを Python スクリプトから操作しようとすると API は "SetPlotPadsOnSilkLayer()" のままで名前も違えばロジックも逆というカオスな状況。

そして、この"SetPlotPadsOnSilkLayer()"は現行バージョンの実装にはあるのだが、なぜかドキュメントには一切出てこない。まあこの辺のちゃんとしたドキュメントはそもそも無い。今後APIごと削除される可能性が無いとも言えないので使って良いのかどうか迷うところ。

ちなみに「境界線とタイトルブロックをプロット(Plot border and title block)」というオプションもガーバーに出しても何の意味もないが、ドキュメント用として体裁を整えるのが目的になる。


Posted by g200kg : 2020/08/27 05:00:25