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2011/08/21 (2011年08月 のアーカイブ)

VSTとGPLの関係

以前から少し不明確な所があったので現状を整理
というかVST関連ってどうもライセンス的な面はおざなりになってる傾向があると思う

1) VSTSDKはスタインバーグサイトでアカウントを取った上でダウンロードが必要で再頒布は不可
2) GPLはバイナリ頒布する場合はビルドに必要なソースコードを一緒に頒布する必要がある

という事でバイナリ形態でこの2つをくっつけたものを頒布する事は不可能
可能なのは、ソースだけをGPLとして頒布。VSTSDKは各自入手してビルドしてね、という形。
VSTSDKのラッパーであるJUCEも同様でJUCEのソースはGPLだけどVSTSDKとリンクしたバイナリを作ったら頒布できない。

これだと困るので(例えばLinuxのLMMSやArdourなんかでは)、VestigeというVSTSDKと互換のあるヘッダーを使い、VSTSDKを含んでいない。なおVestigeはVSTSDKライセンスが禁じているリバースエンジニアリングの結果なのかクリーンルームメソッドによるものかはグレー。

という事でVSTのGPL'd バイナリ頒布に関して現状完全にホワイトな解はなさそう。現在取れる方法としては
1) ソースのみで頒布する
2) GPLではなくBSDライセンスなどにしてVSTSDK関連部分は開示しない
(ただしJUCEはGPLライセンスのため、これを使うと全体がGPLになってしまうので使えない)
3) 次善策としてVestigeを使用

ただ、今の実情はVSTSDKが欠落した形のソースを付けてバイナリ頒布し、GPLを主張するプラグインもあります。これに対して何か問題があるとすると
1) (スタインバーグ) 「GPL'dプログラム」とリンクするのはVSTSDKのライセンス違反
2) (FSF) ソースが欠落しているのにGPLを名乗るのはけしからん

1)は「GPL'dプログラム」が名前だけで実情を伴っていない。 2)はFSFのスタンスとしてはソースのオープン化の推進だが、明らかにVSTSDKはプラグインデベロッパーのコントロール下にないので文句を言ってもGPLを止めるしかなく後退するだけ。
という事であまり積極的に文句をいう理由がない、という状態じゃないかな。

Posted by g200kg : 2011/08/21 11:24:27