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2012/08/04 (2012年08月 のアーカイブ)

KVR Developer Challengeというやつ

KVR 主催のDeveloper Challenge 2012 がスタートしました。
http://www.kvraudio.com/kvr-developer-challenge/2012/
盛り上がって欲しいなあ、という事でたらたら書いてみます。

そもそもこれは、世界最大のオーディオプラグインコミュニティであるKVRが主催する開発コンテストで、今までに3回開催されています。第1回は2006年でこの時の1位はU-heさんのTripple Cheese、第2回は翌年2007年で、xoxosさんのSounds of Nature、第3回2009年はbootsyさんのFerricTDSがそれぞれ一位を取っています。

エントリー作品はフリーウェアとして公開されますので、フリープラグインに興味のある人は要注目ですよ。

u-he : Triple Cheese

xoxos : Sounds of Nature

bootsy (VoS) : Ferric TDS

開発期間はアナウンスがあってから大体3ヶ月くらいなんですが、基本的にこのコンテスト用にプラグインを1つ作る事になりますので、割合敷居が高いイベントではあります。賞金は寄付でまかなわれていて、今までの例では総額で$2000程度ですので賞金で元を取るという感じではないですね。

実は投票が大変

数十個のエントリーがあるのを1つずつダウンロードして動かしてみて、という作業が必要になるんですけど、これが実は結構大変なんです。もちろん、リストをざっと眺めて気になるのだけをちょっと試してみるというやり方もありですけど、ちゃんと評価しようとするとなかなかの手間です。
さらに・・・
開発コンテストという性格上、作品の事前の公開ベータテストは許されていません。作品にとってはこのコンテストが初お披露目の場ですのでテストが充分行われておらず、動作自体が不安定だったりします。前回の経験で言えば、エントリーの何割かがちゃんと動かない、という状況だったりします。投票期間(1ヶ月)の間はバグフィックスは可能(機能追加は不可)なんですが「動かないよ」みたいな報告がいっぱい来てパニくってるデベロッパーさんもいました。

評価の傾向

評価の傾向としては、音楽制作ツールとしての即戦力の実用性みたいな部分が割合重視されてるかなという気がします。やっぱりKVRに来ている人の多くは音楽制作を目的としてますし、投票の際、動かしてみてパッと見で使い方がわからないとか何かの準備が必要、とかいうとそれだけで評価してもらうのが厳しいですね。

かと言ってただの一般的なバーチャルアナログなシンセとかだと、そもそも大量のエントリーの中で埋もれてしまって注目してもらえないので、特徴となる部分とわかりやすさをどう両立させるかというあたりがなかなか難しい所じゃないでしょうか。そういう意味ではプリセットとかデモ曲とかの準備も気をつかう必要があります。投票の時は、1つの作品に対して、デモ曲を聴く、ダウンロードして動かしてみてプリセット選んで音を出して見る、てのを一通りやったらもう大体印象が決まっちゃいますしね。

なんでこんなに不定期開催なの?

元々は毎年開催のつもりだったのだと思うのだけど、開発3ヶ月+投票1ヶ月かかるし2年に一回くらいの方が良いという意見もありました。エントリーする側の常連はいつもノリノリなんですけど、運営をボランティアで手伝ってくれる人がなかなかいないという状況のようです。特に終わった後の賞金以外の賞品の分配が相当面倒そうで、何十人かの人とメッセージをやりとりしながら、色んなデベロッパーが提供してくれたライセンスを1つずつ分配して行くような感じです。この賞品が目当てでエントリーするという人はあまりいないと思うので、もらう事に熱心じゃなくて分配作業自体が滞っちゃったりするんですよね。そもそもプラグインを開発してるような人達なので、もらわなくても自分で作るよ...ていう感じかも知れません。大手メーカーとかがスポンサードしてくれれば雰囲気も変わるんでしょうけど、基本的には商売敵なんでねえ。


とまあこんな感じのイベントなんですけど、見返り云々ではなくて、オーディオプラグインのデベロッパーて大体そんなに数いる訳でもないので、交流のきっかけとしては存在自体が貴重だなと思うわけです。エントリーするのはなかなか大変だけど、投票はKVRメンバーなら誰でもできますし、賞金をまかなうPrize Fundへの寄付も受付中ですので是非ー。

Posted by g200kg : 2012/08/04 14:02:22