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2013/09/29 (2013年09月 のアーカイブ)

SonarX3とVST3とARA

SonarX3 の詳細が発表されていますが、Cakewalk Blogでその技術的な内容について色々触れられています。中でもMelodyne ARAとかVST3あたりの話は興味深いです。

http://blog.cakewalk.com/developer-notes-sonar-x3-ara-integration/

SonarX3もついにVST3への対応を果たした訳ですが、基本的にVST3はVST2.xとの連続性がない新規な規格です。Cakewalkの人もVST3の有用性は認めつつもこれはちょっとやりすぎで普及の妨げの原因だったという認識のようですね。

そして今回、ピッチ編集に関しては今まで搭載されていたRolandのV-Vocalがなくなり、CelemonyのMelodyneが搭載されます。ここで使われているのがARA(Audio Random Access)というCelemonyが開発したインターフェース規格で、これによってMelodyneは単なるプラグインではなく、Sonarと完全に連動して動作するようになります。つまり、
  • いちいちキャプチャーしたりしなくて良い
  • トラックの一部の領域にだけMelodyeを使った編集を行える(リージョンFX)
  • Sonarの編集画面とMelodyneの編集画面が同期する
  • Undo/Redo動作が連動する
みたいな感じです。

* CakewalkBlogより↓


それで実はこのARAはVST3をベースとして拡張した規格なのでARAを実現するためにはVST3が必要になります。CakewalkとしてはVST3が凄くやりたかったというよりはARAをやりたかったのでVST3もやらざるを得なかった、という事のようです。実際の動作としてはホストアプリにオーディオ信号を戻す所はVST3の本来の規格を使用しますが、プラグインへのオーディオの入力部分はARAで拡張された機能を使ってトラック中の任意の場所のデータにランダムアクセスします。これによって昔のMelodyneみたいに一度通しでキャプチャーする必要もなくMelodyneの編集画面上にグラフが表示される訳ですね。

注意事項として、X3でV-Vocalは搭載されなくなりますので使いたい場合は旧バージョンであるX2のディスクのものをインストールしてくださいとの事です。X2の時に作ったV-Vocalを使ったプロジェクトを開く場合にはこれが必要になります。

また、X3(Studio以上)に付属しているMelodyneは和音編集DNAなどがないessential版ですが、フルバージョンのMelodyne editorがインストールされていればDNA等の全機能が使えるようです。ARAのサポートはX3の全ラインナップで同じですのでMelodyneが付属しない無印X3+フルバージョンMelodyneという組み合わせも可能ですね。

ちなみにV-Vocalも内部的にはARAと似たような動作になっているはずなのですが、こちらはプロプライエタリーなインターフェースです。RolandもV-VocalをARAに対応させたりしてくれれば、他のDAWと連携できたりして面白そうなんですけどね。今はStudioOne2で動くくらいしかメリットがないからなぁ、どうかなぁ。もしCubaseあたりがARAに対応したりするとこの辺のランダムアクセス系プラグインの勢力図ががらっと変わるんですけどねぇ、VariAudioとかで独自にやってるから無理っぽいかなぁ。

Posted by g200kg : 2013/09/29 12:37:40